① 断熱

冬の暖かさと夏の涼しさ、どちらも保つためには断熱性能を上げることが重要です。天井、床、壁に断熱材を使用して熱の伝導を防ぎ、隙間を極限までなくして気密性能を高めます。

一番熱が逃げやすい窓の断熱性能を高めることで、少ない暖房でも部屋中が暖かく、長く維持できます。トリプルガラスやLow-E複層ガラス（建築用板ガラス製造大手3社の商標名「エコガラス」）を使うことにより高い効果が期待できます。

断熱性能を高めることは、屋内上下の温度差・部屋間の温度差を低減することにつながり、毎年1万人以上が亡くなっているという血圧変動（ヒートショック）の低減も期待できます。

② 日射遮蔽（しゃへい）

夏期の日射や熱を遮ることで、室内の環境を涼しく保ちます。建物では軒（のき）・庇（ひさし）の角度や長さで対応します。当社ではCADデータに、建築予定地の緯度経度を入力して、太陽の角度をシミュレーションしてご覧いただけるようにしています。DIYショップでタープやすだれなどを購入してご自身で工夫されるかたも増えているようです。

③ 日射熱取得

冬期の日射角度は低くなります。窓などから日光（赤外線）を積極的に取り込み、屋内を温められるように設計。断熱性能が高ければ、わずかな蓄熱も持続しやすくなります。パッシブ（受動的）に加えてハイブリッドソーラーによる床暖房や太陽光発電で起こした電気によるエアコン暖房を併用して、さらに快適に過ごせることでしょう。

④ 採光

昼の明るさを室内に取り入れ、照明等の利用頻度を減らします。LEDの普及で消費電力は低減していますが、無理せず日々節約できることこそ、パッシブデザインの考えそのものです。天窓を付ける選択肢も、採光面では大いにメリットがあります。ただし断熱性能の低下や長期年数経過時には雨もりの心配も高くなりますので、ご家族とよくご相談の上、決められることをおすすめします。屋内も吹き抜けを設けたり、壁を明るい色にして光が奥まで回り込むようにしたり、室内ドアは明かり窓がついているものをなるべく選びましょう。

⑤ 通風

換気の重要性は非常に高まっています。ウイルスをため込まず外へ逃がすこと。要所要所に換気扇を設け、計画換気をする一方で、自然の風を室内に取り入れ、抜けていく空気の通り道を考えたいものです。吹き抜けや床下空調、ルーバーやウインドキャッチャーなどで、快適な気候の時期には存分に風を感じてみませんか。