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コートールド美術館展 魅惑の印象派
今年も今週と来週でひと段落。残りあとわずかですね。
来年の2020年にはオリンピックがあったりして、個人的にも楽しみがたくさんあります。
その中のひとつ、先日まで東京都美術館で開催されていた「コートールド美術館展 魅惑の印象派」がいよいよ愛知にやってきます!
ロンドンのコートールド美術館は、イギリスが世界に誇る印象派・ポスト印象派の殿堂です。マネ最晩年の傑作《フォリー=ベルジェールのバー》、ルノワールが第一回印象派展に出品した記念碑的作品《桟敷席》、セザンヌ《カード遊びをする人々》、ゴーガン《ネヴァーモア》など巨匠たちの代表作がずらりと並びます。それらが貸し出されることは滅多にありませんが、このたびコートールド美術館の改修工事のために多くの名作が来日することになりました。
ということなんですよね。改修工事があるからこその棚ボタ的展覧会なので、この機会を逃すことはできません。
1月3日から愛知県美術館へ巡回されます。
しかし改修工事があるから単純にホイホイ借りられるということではなく、名品と言われるものは年代が古かったりで、外に出すとそれだけで劣化の要因になり得ますし、移動前・移動後にもかなりなチェックが入るそうです。
以前何かの本で読んだことがあるのですが、同じ日本国内でも別々の美術館で展覧会の内容がかぶってしまうと、予定していた作品が借りられなかったり、はたまたお国の事情があったりなかったりで無事に作品が届くまでは心が休まらないということが書かれていました。他の館の動向も探りながら根回しをして借りる算段を踏むらしいのですが、それこそ人と人との繋がりも重視されます。大切な我が子を託すには信頼できる相手に預けますよね?もちろんネットワークやコミュニケーション能力、その作品の知識だけではなく歴史や背景も知っていなければなりません。
キュレーターという人たちをご存知でしょうか?キュレーターの仕事は、展覧会のテーマを考え、参加アーティストやアート作品を選択し、しかるべき展示会場に好ましい効果を発揮するようにアート作品を設置し、カタログに文章を執筆することなどである。とウィキペディアに載っていました。キュレーターはそれこそ美術に精通している強者ですが、日本にはあまり数がない西洋美術作品をよそから借りようとするなら、普段の研究や執筆もさることながら、各国の研究発表内容や美術館の人事に至るまで把握しておく必要があるわけです。 とても興味深いですよね?1週間程度職業体験してみたいくらいです。
勝手ながら建築にも通ずるような思いがしていて、なのでいつも展覧会も楽しみなのですが、その展覧会場の建物を見るのも好きなんです。展覧会が箱の中身だとすると、それを演出するパッケージがその建物ですから、トータルで見るのが実におもしろい。グッズも毎回楽しみに見てついつい買ってしまう。そうなんです!展示を見る人の動線の延長線上にいつもだいたいグッズ売り場があるわけなんですよ。そりゃ見たら欲しくなる=購入するといううまくできた仕組みが出来上がっているんです。
ライティングも作品をより良く見せるためにセッティングされていて、結構おしゃれに見えますし、その空間にただ佇むだけでも心地良い。ゆっくり静かな時間を過ごせます。来場者がたくさんでも、そこは暗黙の了解なのか、名品の前では黙して語らず精神が行き渡っていて、人の衣擦れの音や感嘆のため息が聞こえるくらいで、そんなに気になりません。
名品には置かれる環境が大切。作品の品質保持のためには美術館の温湿度管理はとても重要。家も同じで、そこに住まう人たちの健康や幸せのためには、室内環境を整える。経年劣化をすれば作品の補修をしたり、建物を改修したりと、美術と建築って通ずる気がしませんか?美術館の室内はなんとなく神聖な空気の流れがあって、その中で鑑賞すると展覧会の演出も相まってあっという間に時間が過ぎていきます。作品自体の歴史にも流れがあって、展覧会全体にもテーマに沿った物語がある。
美術にあまり詳しくなくてもその時代の背景を知ることができたりと勉強にもなります。
ご興味のある方は是非一度足を運んでみてください。お薦めです。